竹取りものが足りん!

あめのゆみ的竹林有効活用プロジェクト

本活動は、もはや竹害と呼ばれ、地域社会の景観を近年大きく損ないはじめている荒廃竹林を整備しながら、またその間伐材を資源として有効活用していく実践的プロセスを、コミュニティスペースやインターネットを通じて広く情報発信し、共通の課題を抱える他の地域社会にも役立てられることを目的とする。

二つの場所・二種類の竹林で

孟宗竹と真竹、二つの異なる種類の竹林整備を行う。資源利用としては、肉厚な孟宗竹は主に竹炭や竹パウダーに、比較的まっすぐ伸びる真竹は建築資材(内装用の床材やテント資材など)として、役割を明確にして活用する。

◎孟宗竹林は、当NPO法人の事務所が所在する天水町野部田地区の山の神神社の境内にある。任意団体の頃からあめのゆみは、その活動を耕作放棄地の活用を中心に石貫地区に置いていたが、本年度からは事務所が所在する地元地域内の求心的な場にある竹林整備を通して、地元住民との公益的な連携を深めていきたい考えである。

◎真竹竹林は石貫地区の古城原にある。ここは一昨年前に耕作放棄地の整備も兼ねて、イノシシよけバリケード(120m)を竹の間伐材で製作した。しかし昨年度は水不足でこの圃場に水が入らず作付けを断念したため、すでに竹林ともに荒れ、バリケードも傷み出している。本年度はこの圃場を主に大豆畑として再生するため、竹林ともにバリケードを再整備していく。

また、この間伐材は昨年度から古民家の改修に取り組んでいるコミュニティスペース(高瀬カフェ)の床材や内装資材、家具材として活用するものとし、さらに「春の桜マルシェ」で使用する組み立て式テントの資材としても活用していく。

粉砕機(竹チッパー)の製作

今回の企画で特筆すべきは、竹粉砕機の自家製作を試みることである。近年、竹の有効活用として取り沙汰されているのが竹チップ(パウダー)による農地の土壌改良であり、竹チップの商用化である。もっとも、この粉砕機は一般的に100万円以上もする高額機械で、非営利団体が所有するには難しい。しかし最近は10万円程度の制作費で自作に成功した人々の情報も出てきており、公表されている情報から同様の粉砕機製作は十分可能と考えられる。この粉砕機の製作過程も広く共有できれば、地域社会における竹林整備対策に大きく貢献できると考えられる。

 

竹テントの製作(すでに予定変更で、今年度は金具を使わない竹テントの制作に方向転換しました。もっともトージバ式竹テントは他のNPO主催によるワークショップに参加することで学ばせて頂きます)

千葉県のNPO法人トージバは関東を主な舞台に現代の「湯治場」を目指し、環境に配慮した活動を続けるユニークな組織であるが、主な活動のひとつに竹林整備と間伐材を活かしたイベント用竹テントの製作・普及活動がある。食に関する意識の高まりのなかでマルシェが日常的なイベントとして定着しつつある今日は、より環境に配慮したコンセプトを示すうえでも竹テントの使用は必須のアイテムとなりつつある。マルシェでのお披露目を目指して、この竹テント3台の製作を試みる。

竹事業の展望

最後になるが、あめのゆみが竹を活用した事業を通じて目指す、熊本における将来の青写真を具体的に示しておきたい。それが、インドネシア・バリ島に5年前にできた“Green Village”である。

 

http://greenvillagebali.com

 

ここは、川が流れる森のなかに沿ったおよそ東京ドーム二つ分の敷地につくられたエネルギー完全循環型のエコヴィレッジであるが、特筆すべきはその敷地内のほぼすべての建造物が竹や泥のみで作られているという事実である。

 

しかもその姿は決して伝統的なバリの家屋にみられるものではなく、まるで宇宙船艦隊がジャングルに不時着したかのような独創的なデザイン性を有して存在していることにある。

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施設には学校、図書館、寄宿舎、食堂、カルチャーセンター、ゲストハウス等があり、とくにゲストハウスはスパイラル状に展開する3階建ての巨大スケールをもっている。また水力やバイオディーゼル、太陽光パネルを使ってエネルギーは自給自足、トイレもコンポスト型ですべて土地に循環させているという。

この学校“Green school”には、全世界から約400人の子どもたちが参加しており(2013年当時)、人種や学年を越えて壁のない教室で自然のなか、自然農で稲作など食の自給も学んでいる。

 

主催者はカナダ出身のジョン・ハーディーという環境デザイナーであるが、地元の伝統的な生活や職人たちを重んじ、産業として彼らの技術を活かし、また若い建築家やデザイナーも育成し共生している。

 

竹はそのままホウ酸水に二週間ほど漬けて乾かすことで、虫などによって腐食しなくなることがわかった。これによって自在な建築物をつくることが可能となった。驚くべきは、これらの建築に際してはほとんど全く重機が使われておらず、すべて人力によって運ばれ、組み立てられたようである。もっとも、日本では建築基準法によって竹だけの建物は難しいところであるが、木造とのコラボレーションで日本独自の建造物を創出することも可能と思われる。

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これは決してCGなどではなく現実に存在するものである。できたら来年度にはここへ視察に行き、ネットワーク化を計りたいと考えている。たとえば5年後、天水の耕作放棄されたみかん山の中腹にこのような建造物が立ち並んでいる姿を想像してみるのも面白い。

 

あめのゆみが目指すのは移住者と地域の住民の共生による新しく、創造的で自立した共同体を、利権の生じない素手と資源で創っていくことである。このGreen Villageはその素晴らしい具体例である。

 

最後にジョン・ハーディーが挙げる21世紀の資源としての竹の8つのメリット。

1.竹は、生長が早くわずか3〜5年で効率的に資源利用できる

2.同じ重さの鉄や鉛よりも強度がある

3.生命力に優れ、日本の原爆投下後、最初に蘇生した植物と言われている

4.抗菌作用があり、悪臭防止になる

5.コットンと比べて倍の吸水性がある

6.アジアでは、竹は神秘的な植物として考えられている

7.窒素固定能力により、土壌の肥沃度を増進させ、排水の浄化も行う

8.繊維、紙、燃料としてもつかえ、余すところなく活用できる

 

 

付録 野部田山の神神社の伝承について

 

この神社には伝承的にオコゼ(絵馬)が奉納されており、祈願することで皮膚病が治るとされ、いまも遠方からの参拝者が多く、実際に快癒されてお礼参りに来られる方もしばしばみられる。地元の高齢者の方々に聞くと、昭和40年頃まではお祭りのときは参道から約三キロ先まで市が立っていて、参拝客もずっと行列が続いていたという。しかし今ではそのような賑わいは皆無であり、地域の役員たちによって年二回のお祭りが形式的に執り行われているものの、当日の参拝者もごくわずかしかおらず、地域住民に至ってはほとんど無関心となっているのが現状である。この鎮守の竹林を整備し、竹炭と竹チップを地域住民(ほとんどが農家)に配布することで、山の神との関係を取り戻すきっかけになれば幸いである。

 

山の神の主祭神はいイワナガヒメであり、全国の山々に存在するが、奉納物のオコゼをめぐって共通する伝説が残っている。以下は「まんが日本昔ばなし」で取り上げられた話である。地元の高齢者にも似たような伝承があることを確認したので、地域におけるこの伝承の復活を今後の課題と考えたい。

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昔、作物がよく採れる豊かな村があり、これも山の神様のおかげと考えていました。神様は山の大木の祠に住んでいて、とっても恥ずかしがり屋の女の神様でした。

山の神様は秋の収穫が終わると近くの山を守り、春になると里にでて田の神になるのでした。ある年の田植えが済んだ頃、神様が田んぼの見回りをしている際に、はじめて小川に映る自分の顔を目にしました。それはあまりにもみにくい顔だったので、恥ずかしくなって山へ逃げ帰ってしまいました。

すると、神様がいなくなった里の田の苗は枯れ始め、畑は荒れるし山の木も大きく育たなくなりました。困った村人たちは「山の神様よりもっと醜い顔をしたものをお供えしてみよう」って事になり、オコゼを持って山の祠に行きました。

オコゼを見た山の神様は、自分より可笑しな顔があったことを知って、機嫌をなおして村へおりてきてくれました。それからというもの、山の神と村人たちはいつまで仲良く暮らしました